本書は小児がんサバイバー(アリシア)の母親(ルネ)による闘病記録です。アリシアは2001年12月に発病し、その翌月に骨のがんであることが判明。手術・放射線・化学療法を受け、小児がんを克服しました。

ルネは娘の闘病中に友人や家族にメールで近況報告をしており、本書の約8割は告知から治療終了までの約半年間のメールが掲載されています。アリシアが発病した頃は、今のようにブログやSNSなど普及していませんので、一番簡単な連絡方法としてメールを使ったのでしょう。娘が病気を克服して社会復帰できるように、ルネは近況を発信し続けました。現在はホームページや「がんの子どものためのハニーサックル基金」を立ち上げ、啓豪活動を続けています。

私の息子も約11年前に小児がんとわかり、2年半に及ぶ化学療法を経て治癒しました。息子が入院していた6か月間は壁新聞を毎日書いて廊下に貼っていたので、ルネが「メールは私自身のセラピーであり救済手段である」というのがよくわかりました。

子どもが闘病中は母親の視野は狭くなり、専門的な分野へと向けられます。その様子もよくわかったので、過去を振り返って反省することもありました。ブログやSNSでお子さんの闘病記録を発信していらっしゃる方も多いので、書くことで気持ちの整理をして、同じ環境で頑張っているひとたちと繋がって踏ん張れるのではないかと思います。

本書には、どんな時も現実を受け止めて力強く進もうとする母親の気持ちが描写されています。そこには、子どもが病気だと告げられた親の前に次々と立ちはだかる障害物を乗り越えるヒントがあります。告知後・闘病中のご家族はルネに共感する点が多くあると思いますので、気持ちの整理をするのに役立ちます

アリシア がんを克服した母娘からのメッセージ
各章の内容については以下の通り。

◆第1章◆
 運命の歯車が動きだすまでアリシアが病気になる前のはなし。

◆第2章◆
 原因不明の痛み発病から腫瘍が見つかるまでの様子など。

◆第3章◆
 がん発覚-絶望と覚悟検査⇒手術⇒告知、当時の様子や母親の気持ちについて。

※第4章以降は本文の9割強が、2002年2月?翌年8月の約半年間、家族や友人に宛てた近況報告メール、友人などからもらったメールがそのまま紹介されています。

◆第4章◆
 母の闘い子どもにとって最善を尽くすと決意し、涙や苦悩、心の痛みをコントロールしようとする母親の想いとその手段について。

◆第5章◆
 仲間たちからの支援支え助けてくれた人たちのはなし。

◆第6章◆
 がん教育と啓豪活動冒頭3ページに、復学支援プログラムに参加しクラスメイトに病気について話をしたことが簡潔に記されています。

◆第7章◆
 アリシアの心アリシアの様子。検査・脱毛・嘔吐・体重減など、娘が病気である現実をつきつけられる日々の中で、それを受け入れ前進しようとする母親の強い意志が綴られています。

◆第8章◆
 生存率数字と格闘するルネの様子

◆第9章◆
 幼き友人サラの死冒頭4ページで、アリシアのルームメイトのサラについて取り上げていますが、それ以降はアリシアの近況報告。

◆第10章◆
 闘病生活がもたらしたさまざまなこと治療終了後の元気な様子や嬉しい気持ち。