安心・安全・手軽に使えるCVカテーテルカバーをメーカーさんに製造してもらうためのアンケートを作る前に、いろいろと下準備。Mammies Hours SHOPの石嶋さん、コドモフク ひよこ屋の岩倉さんとチームを作り、いろいろな方にご意見をいただきながら、CVカテーテルカバーの必要性について意見を出し合っています。

前回は患児家族の立場で「CVカテーテルのトラブルと対策」についてまとめました。


今回は医療従事者がどのようなことに注意しているのか、実際にどのような事例があるのかを調べ、患児家族と比較して検討します。

CVカテーテルのトラブルによる抜去と対処法について

CVカバーの必要性について病院側の説明と患児側の考えに違い

まず最初に、自分でカバーを作った方や購入された方の話の中から、CVカバーの必要性について病院側の説明と患児側の考えに違いがあることに着目しました。

主治医

引き抜き防止のために必要です

その他、プラグやルートを保護する、プラグが肌に触れて痛い、感染予防、引っ張られるので、カバーを作ってくださいね。

母親

テープかぶれがひどくて・・・

消毒のたびにルートを固定しているテープも交換するから、皮膚まで剥がれて痛がるのよ。引き抜きやプラグの保護でカバーが必要なのはわかるけど、テープかぶれが一番気になるわ。

男の子 子ども

カバーを付けていると安心する

カバーを付けるとぶらぶらしないから気にならなくなるし、痛くないし、安心できるんだ。

医療従事者は患児を「看護する」立場にいます。看護とは、医療業務として病人の世話をすること。病気そのものを治療する「手当て」をする役割を担います。そのため、治療に支障が出ないように感染予防するなど目に見えないことへの配慮も必要になってきます。

患児の親は子どもを「看病する」立場になります。看病とは、病人に付き添って世話をすること。病人の身の回りの世話をして病状を「見守る」役割を担います。子どもの年齢が低いほど親は子どもの体の状態をよく観察し、子どもが病気であればさらに注意深くなるため、皮膚トラブルをなんとか改善したいと考えます。治療に関しては医療従事者が適切に処置しトラブルがなければ、親は「看護」の部分に注目することは少なくなるため、感染症よりも皮膚トラブルへの対策を考えるのではないでしょうか。

CVカテーテルカバーの使用に関しては、病院によって感染を恐れて使用を認めなかったり、アイロン滅菌を義務付けていたりするケースもあります。感染は患児の命に関わることですので、医療従事者は親の心配よりも感染予防を優先し、最善の方法で治療をしたいという考えからCVカテーテルカバーの使用に制限をかけるのでしょう。

まずは「CVカテーテル挿入~抜去までにどのようなトラブルが発生するのか」を調べました。

トラブルによるCVカテーテル抜去の理由

北海道立小児総合保健センター外科の場合

トラブルによるカテーテル抜去の理由 北海道立小児総合保健センター外科
  • 感染を如何に予防するかが重要
  • 輸液ラインの close system 化などにより適切なカテーテル管理を施行する

引用元: 後藤真,永山稔,縫明大,他:13.中心静脈カテーテルトラブルの検討.日本小児外科学会雑誌,39(4):p77,2003年

九州大学小児外科の場合

トラブルによるカテーテル抜去の理由 九州大学小児外科
70年代と90年代を比較すると・・・

  • カテーテル敗血症は減少している
  • 不注意による抜去は未だ多い
  • CVC管理のプロトコール化はカテーテルの閉塞や事故抜去を減少させた

※90年代前半と後半のグラフを画面上で計測して合算し、「使用中」を除いた結果であり、実際に発表された結果ではありません。
引用元: 山内健,水田祥代,増本幸二:D21 中心静脈カテーテル合併症の変還-当科におけるカテーテル665本の解析-.日本小児外科学会雑誌.32(3):p151,1996年

子どもは予測不能な行動をとる

CVカテーテルをしたまま学校に通っていた子が、お友だちにCVを引き抜かれたという話もあります。石嶋さんの話では、3歳くらいまでは自分で引き抜くことが多いそうで、それ以上になると誰かに抜かれたり何かの拍子で抜けかけたりする子が多いとか。

また、小児患者の療養生活に関連したヒヤリ・ハット事例の中に「アイソレーター(無菌室)内で床上安静中で患者は機嫌よく遊んでいた。ブロビアックカテーテル(体外静脈カテーテル)のプラネクタ(三方活栓)に鉛筆の先を突き刺して遊んでいた。(※)」という、なんとも危険な行為を楽しむため、子どもがCVカテーテルを気にしないような工夫が必要だと感じました。
※引用元: 公益財団法人日本医療機能評価機構:【4】小児患者の療養生活に関連した医療事故.医療事故情報収集等事業 第11回報告書:p115,2007年

感染予防は医療従事者に従い適切な処置をするしかないのですが、「事故(自己)抜去」「閉塞」「破損」に関してはカテーテル保護カバーである程度予防することができると思います。実際にCVカテーテルをテープではなく、別の物で固定・収納している病院の論文やガイドラインがありました。

CVカテーテル事故(自己)抜去防止策

香川小児病院の場合

2歳女児。
ベッドの上での胎動が激しい。固定テープの剥がれ。ルートの捻じれによる閉塞。
 ↓
患児が嫌がらず安全に過ごすには?
 ↓
ルートを収納できるキャラクター柄の固定バンドを作成する
 ↓
ルートの捻じれを回避。事故抜去や閉塞を起こさなかった。
引用元: 宮川幸子,宮武沙織,三井安子:4 中心静脈カテーテル挿入中の患児における事故抜去予防の工夫.日本小児外科学会雑誌,44(1),p82,2008年

日本小児血液・がん学会 止血・血栓委員会作成のガイドライン

  • 滅菌された透明ドレッシングや包帯、絆創膏などを用いて固定する
  • カテーテルを常日頃から服の中に入れる
  • マジックテープで固定する胸帯を使う (⇒こんな感じの帯かしら・・・)
  • 小さな袋にカテーテルを入れて紐で首からぶら下げる

引用元: 日本小児血液・がん学会 止血・血栓委員会:4 中心静脈カテーテル挿入中の患児における事故抜去予防の工夫,小児血友病患者に対する中心静脈カテーテル使用のコンセンスガイドライン:p27,2004年

看護師と親の役割の違いからCVカテーテルカバーに求める要素にズレが生じる

医療従事者と患児家族にとってどのようなCVカテーテルカバーが必要なのでしょうか。どのようなカバーであれば病院での使用を認めてもらえるのでしょうか。

それは次回に・・・