中日新聞 くらしの作文「小児がん克服までの道」

「治療が終わって5年間再発しなければ、完治したと判断します」
7年前、次男が白血病と告知された時、主治医から受けた説明の言葉一つ一つが、私たち夫婦に重くのしかかりました。白血病と分かった瞬間、将来は暗い闇に閉ざされてしまったような気がしました。しかし、懸命に生きる次男の姿に光を見つけ、涙をふいて力強 く歩み始めることができました。

2年1ヶ月に及ぶ治療は、次男にとって、毎日が病気と抗がん剤の副作用、そして自分の心との闘いでした。副作用で食欲が出て急激に太り、一見健康そうになったかと思えば、次の薬で体重が激減したことも。 頭を動かしただけで抜け落ちる髪を、息子と一緒に拾い集めたこともありました。

でも、幸い化学療法だけで治り、後遺症はありません。そして来月4日に治療終了満5年を迎えます。体力もついて丈夫になり、年を重ねるごとにたくま しくなっていく次男を見ていると、「この先も、きっと大丈夫」と確信できます。

支えてくださった皆さんに感謝し、たくさんの愛情に包 まれて生きていることを心の奥深くにしっかりと抱いていきたいと思っています。

2011年9月24日(土) 中日新聞 くらしの作文に掲載

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