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血液細胞の分化と働き
血液は何からできている?
血液の約半分は、血漿とよばれる薄黄色の液体で、そのほとんどは水分です。それ以外の成分がそれぞれに役割をもつ液体細胞であり、肺から全身の組織へ酸素を運搬する赤血球、血液の凝固にかかわる血小板、生体を感染から守る白血球から成っています。
これらの細胞はすべて、骨髄の幹細胞から分化したものです。この幹細胞の中から前赤芽球へと分化する細胞がその後赤血球となり、同様にリンパ芽球はリンパ球に、骨髄芽球や単芽球は異なる種類の白血球とそれぞれ分化します。
造血細胞の分化
白血球の種類と働き 【骨髄系細胞】
顆粒球
- 好中球
- 強い貪食能力を持ち、細菌などの体内の有害物を除去する役割があります。体内に何らかの異物が侵入した場合、強力な化学物質で破壊しますが、好中球も一緒に壊れてしまうこともあります。そのため、多くの好中球をつくり異物を破壊します。
単球
- 大食細胞(マクロファージ)
- からだの中に入ってきたどんな異物も破壊します。好中球のように自分を破壊することはなく、捕まえた異物を完全に破壊する前に、ほかの防衛細胞であるリンパ球に異物を見せて攻撃させます。
白血球の種類と働き 【リンパ系細胞】
T細胞
T細胞の名前は、この細胞が胸腺(thymus)で分化し成熟することからきています。外来異物(細菌・ウイルス・がん細胞など)と結合し、その次にどうなるかは5種類あるうちのどのT細胞が活動したかによります。
- キラーT細胞
- 接触した侵入物に強力な化学物質を注入して直接破壊する。
- リンホカイン産生T細胞
- リンホカインというたんぱく質を放出し、一連の免疫活動のスピードを速める。
- ヘルパーT細胞
- B細胞を活性化する。
- サプレッサーT細胞
- 免疫反応を制御して、免疫系が亢進しすぎて細胞を攻撃しないように調節する。
- メモリーT細胞
- 遭遇した侵入物の種類を記憶し、次回の侵入時に有効な反応を引き出せるようにする。
B細胞
B細胞の名前は、この細胞が骨髄(bone marrow)で成長することからきています。T細胞の信号に呼応して、B細胞は侵入物のいる場所に向かい、外来異物と結合します。B細胞の成熟は速く、侵入物に対する特定の抗体を生産する工場となり、無数の抗体分子がB細胞から放出され、血中とリンパ系を循環し、同じ種類の侵入物を探し出します。
引用
- 「がん―自分で選び、決定するために」 (1998/10)
- 「君と白血病―この1日を貴重な1日に」 (1989/08)
- 「血液の事典」 (2004/09)