電磁波とは
電磁波は、電気と磁気によって成り立っています。電気の力が発生する電場と、磁気の力が発生する磁場を生み出しながら移動しているものです。
電場と磁場は、つねにお互いに振動しており、一秒間の振動回数を周波数といい、Hz(ヘルツ)で表します。つまり電磁波とは、電場と磁場が構成するエネルギー帯といえます。
電磁波と小児白血病の発症率
1976年にアメリカの研究機関が小児がん患者は送電線近くに住む割合が多いと指摘したことをきっかけに、世界中で電磁波と小児がんに関する疫学調査が行われています。
しかしながら、それについてわかっていることはほとんどないのが現状です。実験や疫学調査の結果と照らし合わせると、電磁波は小児白血病のプロモーター(起きたがん化を促進する)として存在しているのではないかという見方があります。
送電線などから出る電磁波について、世界保健機関(WHO)は18日、新たな環境保健基準を公表した。各国での医学的調査を基に、平均3~4ミリガウス(ガウスは磁界の強さの単位)以上の磁界に日常的にさらされる子どもは、もっと弱い磁界で暮らす子どもに比べ、小児白血病にかかる確率が2倍程度に高まる可能性を認めた。WHOは新基準に基づき、各国に予防策をとるよう勧めた。
新基準は電磁波のうち、1秒間に50回または60回変動する送電線の電磁波など、強さが比較的ゆっくり変動する「超低周波」が対象。携帯電話の電磁波は変動が1秒に8億回、電子レンジは20億回以上で対象ではない。超低周波に関する医学的調査は各国で実施されており、総合すると、白血病になる率が4ミリガウス以上で約2倍、3ミリガウス以上で1.7倍になると分析されている。国際がん研究機関(IARC)は01年に「発がん性がある可能性がある」と評価した。
WHOは今回、IARCと同様の結論に到達。しかし、動物や細胞の実験では発がんが立証されず、電磁波と発がんに因果関係があるとまでは言えないと指摘した。その上で、予防的考え方に基づいて磁界の強さについての安全指針作り、予防のための磁界測定などの対策をとるよう勧告した。一方で、白血病の増加数は実際に電磁波の影響があるとしても限られていると評価し、予防策の費用は非常に低くすべきだと論じている。
国立成育医療センターの斎藤友博・成育疫学研究室長によると、小児白血病の患者(0~15歳)は日本で年間800人から1000人程度出ており、5年生存率は8割程度だ。高圧送電線の近くで暮らすなどで4ミリガウス以上の磁界に日常的にさらされている子どもは全体の1%程度とみられる。小児白血病の患者は磁界の影響で年間数人増えている計算だという。
経済産業省原子力安全・保安院は先月、送電線などの電磁波について、健康影響を考慮し規制を検討する作業部会を設けた。WHOの新基準への対応は、今後この部会で検討する。
引用元: 2007年6月19日 毎日新聞 より
正しい知識を持って怖がることが大切
BEMSJ様からメールをいただきました。「電磁波の健康影響に関しては、冷静に、科学の目で捉える必要があるかと思います」とのことです。
電磁波の健康影響に関しては、巷では色々な情報が錯綜しており、必ずしも科学的で適切に情報開示がなされているとは限りません。不安感を先行させるのではなく、「正当に怖がるための努力と、そのための関連情報の収集と理解」が肝要と考えます。
巷に存在する電磁波に関する情報としては、「電磁波の影響は騒ぐに値しない」とする論調に比べて、「電磁波は問題である、危険である」という論調が格段に多いと見ることが出来るので、本講座では、それらの動向とバランスをとるために、あえて、「電磁波の危険性は少ない」という論調を多く紹介しています。このWEBにある情報を基に、更にその他の情報を得て、皆さん、この問題を如何にするか、考えてください。この考えるための情報提供が、このWEBの主目的です。
引用元: BEMSJ電磁波健康影響講座 ホームページ
参考
- babycom:「小児白血病と電磁波の関係」 国立成育医療センター研究所成 斎藤友博
- 「暮らしの中の電磁波測定」 電磁波市民研究会(著)
- BEMSJ電磁波健康影響講座