テレビをつけると
みんなが楽しそうに笑っていて
買い物に出かけると
子連れの家族が弾むように歩いている
イルミネーションが眩しくて
どこへ行ってもクリスマス一色で
華やかに、賑やかに
みんな幸せそうに過ごしている
この白い壁に囲まれた
消毒のにおいがする部屋に
私とこの子ふたりだけ
抗がん剤が一滴
また一滴、ゆっくりと
この子のからだに入っていく
点滴を眺めつつ
この子の様子を観察しながら
朝から晩までこの部屋に
病棟の静かな廊下を歩くだけ
今日も1日
外の空気を吸うことはなかった
治療が終わったら
みんなと同じように笑えるかな
外の空気を胸いっぱい吸って
泥んこ遊びもできるかな
好きなものをたくさん食べて
家族のにおいに包まれて
何の心配もなく眠れる日が来るかな
当たり前に過ぎていた毎日が
今はとても長くて、
時には辛くて、悲しくて
喜びの声が響く街中に
私たちが戻れるのはいつだろう
子どもと過ごすサークルベッドの上
点滴のアラームが響く廊下
私たちがここから出られるのはいつだろう
きっと1年後
私たち家族はクリスマスケーキを囲んで
幸せな時間を過ごしている
そう信じて、
いまは踏ん張るしかない
がんばれ、次男のからだ
待っていてね、長男
しっかりしろよ、私