次男は2歳11か月から2年1か月間、化学療法を受けました。(急性リンパ性白血病・ハイリスク、JACLS ALL-02 HRプロトコール)
4歳で乳歯が抜け始めたので、ポロポロと乳歯が抜けたまま永久歯が生えてこないような、歯を失った次男を妄想して怯える私に、主治医は「何の問題もないでしょう」とあっさり答えました。抗がん剤の影響はないのかな・・・。
治療を終えて11年経過した現在、転んで前歯1本の神経が傷ついてしまったことがありましたが、抗がん剤の影響は何もなく過ごしています。生まれつき下顎が小さくて上顎前突(出っ歯)なので、現在も矯正歯科に通院しています。
乳歯の抜け始めから現在に至るまでの様子をまとめました。
抗がん剤の影響!?歯の生えかわり時期が早かった
4歳8か月 下顎の乳中切歯が抜け、六歳臼歯が生えてきた
乳歯だから何の問題もないのですが、保育所年中で下顎の前歯が1本抜けてその隣の歯もぐらぐらして抜けそう。そして、六歳臼歯が生えてきました。
同じ年の子と比べると生えかわり時期が早く、維持療法があと4か月ほどで終わろうとしているこの時期に、抗がん剤治療の影響でポロポロと歯が抜けてしまうのではないかと心配になったので主治医に電話して聞いてみたところ、「歯は何の問題もないでしょう」あっさり答えが返ってきました。
5歳4か月 上顎の乳中切歯と下顎の乳側切歯が抜けた
下顎の前歯は2本とも永久歯に生え変わり、次に上顎の前歯が1本抜けました。永久歯の頭が少し見えています。その隣の歯もぐらぐらしているのですぐに抜けるだろうと思っていたのですがなかなか抜けず、下顎の乳歯が抜けました、というよりも、自分で引っこ抜いてしまいました。
5歳9か月 レントゲンで永久歯をすべて確認
5か月前に抜けた上顎の歯が生えてこないのでレントゲンを撮ってもらうことに。
レントゲンには永久歯がすべて写っていて、まるでサナギのように歯茎の中で眠っています。私が気にしていた上顎の歯は頭を出すスペースがないため待ちの状態であることがわかって一安心。
10歳5か月 異常なし!と思ったら神経損傷・・・
すべて永久歯に生えかわりました。次男は生まれつき下顎が小さくて噛み合わせが悪かったため4年前から矯正を始め、虫歯もなくあとは歯の位置を直すだけだと喜んでいたのに・・・お風呂で滑って前歯を強打。歯は折れたり抜けたりせずにすんだものの、触れると動くため歯の裏側からワイヤーで固定。神経は傷ついて中切歯は変色してしまい、元に戻ることはないとのこと。なんということだ・・・。
永久歯の神経が死んでしまった
神経の再生力を期待して待ったけれど、神経の先端部分が塞がっていないためダメでした・・・。歯の神経(歯髄:しずい)を抜いて(抜髄:ばつずい)、詰めものをして完了。確か、表面は白くなるようにコーティング?してもらったような・・・。変色していた歯の色は、他の歯と同じ色になりました。
抗がん剤が歯に与える影響
「小児がん経験者の長期フォローアップ―集学的アプローチ」より
Cyclophosphamide, vincristine, そして vinblastineなどの化学療法薬剤も歯萌生に影響を及ぼし、低形成歯、エナメル質減形成、矮小歯、歯根の変形(奇形)などの報告がある。
引用元: 小児がん経験者の長期フォローアップ―集学的アプローチp95より
シクロホスファミド(cyclophosphamide)= 商品名:エンドキサン
ビンクリスチン(vincristine)= 商品名:オンコビン
ビンブラスチン(vinblastine)= 商品名:エグザール
歯の晩期合併症は、治療の細胞障害性作用が成長過程にある歯牙へ及ぼす直接的な影響と、唾液腺の損傷による間接的な影響によると考えられる。唾液腺が損傷を受けると、口腔細菌叢は乱れ、口腔内は強い酸性となり、う歯形成しやすくなる。
引用元: 小児がん経験者の長期フォローアップ―集学的アプローチp98より
歯に発症する晩期合併症対策は予防が最も効果的である。それゆえ、理想的にはがん治療をはじめる前に歯科検診を受け、小さな問題でも見落とすことなく発見し治療すべきである。ことに診断時の年齢が低かったり、大量の放射線治療を受ける場合には、将来発症する可能性のある障害に関し、より注意深い観察を要する。
引用元: 小児がん経験者の長期フォローアップ―集学的アプローチp101より