2歳の時に白血病と診断された次男。抗がん剤の副作用によって、脱毛が始まりました。今回は、入院中と外来での維持療法中の脱毛についてまとめました。
抗がん剤の副作用:脱毛
入院治療中の脱毛
バリカンで丸坊主に
「副作用で髪が抜け落ちますから、今のうちに丸坊主にしますか?」
看護師さんに勧められ、髪を短くしてやることにしました。いつも家で散髪しているので、バリカンの扱いには慣れています。でも今回は、少し短く刈るだけなのにとても切なかった。丸坊主になった自分の姿を鏡に映し、「かわいいでしょ」満足げに笑みを浮かべる次男を見ながら、私はごっそりと髪が抜け落ちるテレビドラマの一場面を思い出していました。それが現実として目の前で起こるのです。
副作用で抜けた髪
抗がん剤投与前は、いつも病室まで薬剤師さんが来て説明をしてくださいました。
「この薬の副作用で脱毛します。抜け始めるのは、だいたいこのあたりの日にちから。抜ける量が一番多いのはこの日あたりですね。パラパラと抜け落ちますので掃除が大変です。」
教えてもらった日から枕に抜け毛が見られるようになり、2日後には髪をつまむとすっと抜けるようになりました。「難しい病気なのだ」という現実を突き付けられました。そして、4日後には頭を撫でるだけでパラパラと髪が抜け、次第に頭を動かすだけで抜け落ちるようになりました。
幸い本人は脱毛することに関して、嫌がることも恥ずかしがることもありませんでした。抜けるといってもすでに短く刈り上げた後でしたから、細かい髪が散らばって首筋についたり服の中に入って痒がっていました。布団のシーツについた髪をテープを使ってペタペタと取っているときに、次男の頭にもテープをつけてみました。ゆっくりはがして見ると、何の抵抗も痛みもなく抜ける髪。短い髪がびっしりとついてきて恐ろしくなりました。
「お母さん、なにしてるの?」
次男が振り返り、テープについた自分の髪を見て面白がりました。
「すごいね!今度はぼくがやってみる!」
自分の頭をペタペタしている姿を見て、私は笑うしかありませんでした。
「本当だ!すごいよ。こうするとベッドの掃除しなくていいもんね」
「うん(o^∇^o)ノ これ面白い」
次男に救われました。次男を支えなければいけない私が、次男に支えられることのほうが多かったような気がします。
周囲の視線
治療の合間に外泊許可が出ました。病院の向かいに私の祖母が住んでいたので、昼前に外出して昼食をいただいてから病院に戻ります。
外出できるようになって、次男はとても楽しそうです。足取り軽く、ナースステーションで看護師さんに挨拶をしてからエレベーターに乗り込みます。すると、次男の後頭部に向けられる視線を感じました。
こんなに涼しい頭だったらどうしたのか気になるよね。。。すると、次男が視線に気づきました。
「(o ̄∇ ̄o)ヘヘッ♪かわいいでしょ」
周りの人たちに自分の頭を見せています。「かわいいね~」と言われ、さらに照れている。つ、、、強い。私は引きつった笑顔で軽く会釈・・・。次男に教えられることばかりです。
外来治療中の脱毛
2006年3月13日
いつものようにダラ~ンと私の胸に飛び込んできました。私の腕には、次男の細い髪の毛が5,6本ついています。脱毛!!? 手ぐしで何回が髪を少し引っ張ってみると2,3本ずつ抜けてきます。心配しましたが、脱毛はその時だけでした。
2006年5月23日~25日
23日、お風呂で頭を洗った後に気づいた脱毛。初めて脱毛した時と同じように、体にたくさんの髪がついていました。手ぐしでも髪が5本は抜けてくる・・・何度やっても同じ。維持療法に入ってからはこんなことなかったので心配になりました。
病院に電話して確認。前回の外来治療は主治医が出張のため、副院長先生でした。直接話をすると、
先生 「5本ぐらいだったら大丈夫。お母さんも知ってるでしょ? 全部抜けてもまた生えてくるから、脱毛のことは心配しなくてもいいんだよ。心配なのは吐いた時ね」
私 「外来になってから、こんなことは初めてだったので・・・」
先生 「久々(副院長先生)の診察で次男、びっくりしちゃったかな~。それで髪が抜けちゃったかな・・・だったら違う意味で心配だな・・・」
いつも楽しい副院長先生のおかげで気持ちが落ち着きました。副院長先生と話していると気分が明るくなります。
その後
主治医の説明では、2週間前のテラルビシンの副作用がだいたいこの時期に現れるそうです。副作用で抜けたのだからまた生えてくるとわかっていても、やっぱり髪が抜けると心配になります。薬が多すぎたんじゃないか、からだが耐えられなくなっているのでは?いろんなことを思いました。
脱毛は数日で終わり、生え際がなんとなく薄くなったような気がした(のは、私だけかも。気にしすぎ)。それからは目立った脱毛もなく治療を終えました。