小児がんであることを周りの人にどのように伝えるのか(小学校入学式に担任の先生へ渡した手紙)

小児がんであることを周りに人にどのように伝えるのか、親子で出した答え

卒園式も終わり、新しい環境に飛び込んでいく嬉しさと不安でいっぱいだった2008年の春。10年前に次男の担任の先生に宛てて書いた手紙のコピーが出てきましたので、その全文を掲載します。

目次

小児がんであることを周りに人にどのように伝えるのか、親子で出した答え

さて、手紙を書く前に、次男が白血病だったことを周りの人に伝えるかどうかを親子で話をしました。

次男が白血病になった時、長男は幼稚園の年長、私は保護者会の役員・・・18名しかいない小さな幼稚園でしたので、保護者の皆さんと長男のクラスメイトには病名もすべて伝えました。長男が小学1年生の時はまだ次男は外来治療中でしたので、来年度のPTA役員選出を免除してもらうために保護者の前で話したことがあります。

親同士の会話の中で病気の話が出るのは問題ないのだけれど、息子たちは、病気について質問されても答えられない不安があり、もう治って元気になったのだから話す必要がないということで、息子たちのお友だちには説明しなくていいという息子たちの意見を尊重しました。

小学校入学式に担任の先生へ渡した手紙の全文

担任の先生へ

山崎と申します。1年間どうぞよろしくお願いいたします。
息子は2歳の時に急性リンパ性白血病と診断され治療を受けました。現在は治療を終えて元気になりましたので、他のお子さんと同じように生活できます。ただ、これで完治したという訳ではなく、再発の心配もありますので、担任の先生には息子の病気についてお話させていただこうと思いました。

病歴

  • 2004年9月1日に白血病とわかり、9月6日より化学療法(抗がん剤治療)を開始。
  • 2005年4月9日に退院後、1年半の維持療法(外来にて抗がん剤の投与を継続)。
  • 2006年4月より維持療法を続けながら○○保育所に通う。
  • 2006年10月に治療終了。現在は経過観察中。2ヶ月に1度の定期健診(血液検査と診察)。

白血病について

急性リンパ性白血病とは血液と骨髄のがんです。急性リンパ芽球性白血病、ALLとも呼ばれます。小児において最も多いタイプの白血病で、ほかには急性骨髄性白血病などがあります。
白血病になると正常に機能することができない白血球(白血病細胞)が血液と骨髄中で増加するため、健常な白血球、赤血球、血小板の余地が少なくなります。白血病細胞は血液の外側の中枢神経系(脳および脊髄)、皮膚、歯肉を含めた体の他の部分まで拡がることがあります。

治療について

化学療法を2年1ヶ月行いました。7ヶ月間の入院中に行った治療はとても強く、多くの副作用があらわれました。主な症状は、骨髄抑制(免疫力の低下・出血しやすくなる・貧血になる)、脱毛、口内炎、蕁麻疹、嘔吐などです。外来治療は薬剤の投与量も少なくなり、入院中の治療と比べると副作用はそれほどあらわれませんでしたが、倦怠感、蕁麻疹などがたびたび見られました。

定期検診について

再発や晩期障害はないか調べるため、定期的に外来で検査をしてもらいます。白血病の原因は解明されていませんので、何をしたら再発するかということもわかりませんが、怪我をしたり感染症にかかったりしたら再発するということはありません。再発の疑いがなければ、血液検査と診察のみで経過をみていきます。

本人の病気への理解について

病名や処置の必要性について、本人には繰り返し説明してきました。間違った情報を得て苦しむことのないよう、また、病気についていつでもどんなことでも質問していいという環境をつくっておきたかったので、「白血病」であることも、それが「がん」の一種であることも話しました。本人は「がん」と聞いても「よくわからない。もう治ったから怖くない」と話しています。病気や入院していたときの話も時々会話の中に出てきますが、特に変わった様子も見られず話しています。

長男(兄・小学4年生)の病気への理解について

本人よりも病気やからだの仕組みについての理解があり、白血病だということも知っています。

息子たちの友達への病名説明について

病名を隠すつもりはありませんが、知識不足による誤解を招く恐れもあるので、学校のお友だちには話さないことにしました。「病気が感染すると思われるのが嫌だし、病気について質問されても答えられないから友達には話したくない」という息子たちの意思を尊重したいと思います。

保護者への病名説明について

私が他の保護者の方に話すのはいいということでしたので、病気に関する理解を広めるためにも学級懇談会の時に少しお話しできたらと思います。

学校生活での注意事項など

特にありません。時々足の裏が痛いと言いますが、骨に異常はありませんでしたので様子を見ています。激しく痛むようでしたらご連絡いただけませんでしょうか。
予防接種は抗体が落ちてしまった分に関しては接種し直しました(水疱瘡は接種後抗体確認済み、おたふくは抗体確認中)ので問題ありませんが、風邪をひくとすぐに40℃の高熱になることが多いのため、クラスで感染力の強い病気が流行った時は連絡帳にひとこと添えていただけると有難いです。
入院中は感染防止のため、ベッドの上だけで生活しておりました。退院して1年間は感染の心配もあり、同じ年の子どもとの接触を避けていました。そのためか、友達との関わりがあまり上手く出来ないように感じます。また、体力がなくすぐに疲れてしまいます。家でも体力がつくように努力していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

2008年4月7日
山崎 仁美
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