主治医から、臨床研究への参加について説明を受けました。参加しなくても最新の治療は受けられ、扱いが悪くなることはありません。どちらでもいいと言われたましたが、私と夫は望みを託して同意書にサインをしました。
心の中でネガティブな私が不安を漏らします。
息子は実験台になるの?
次男は入院していた7か月のほとんどをサークルベットの上で過ごしました。高校生になった今も「狭い場所のほうが落ち着く」といいます。入院中はサークルベットから出るときは注射されることを知っていたので、柵が上がった状態のサークルベット上は安全だと思ったのでしょう。
医師、看護師の皆さんにはご尽力いただき感謝しています。しかし、副作用でぐったりしている姿や、医療者が数人で次男を押さえつけて麻酔なしの髄注(髄液注射・ルンバール)をするときなどは、実験台にされているような思いでした。
処置室から聞こえる次男の泣き叫ぶ声、「助けて」と私に向けられる言葉に何もできなかった自分。「これは治療だ」と自分に言い聞かせながら、処置が終わるまでの数分間を廊下で待ちました。
治ればいい・・・治るんだったらそれでいいの?
この思いが、息子の病気と看護について学ぶきっかけとなりました。
「臨床試験参加に関する同意書」の中身と「小児がん臨床研究グループ」について
日本には小児白血病治療研究グループが5つあり、次男がいる病院はJACLS(小児白血病研究会)に登録していました(※小児がん臨床研究グループについてはこちらをご覧ください)。
小児白血病の患者数は少ないうえに、まだ完治する治療法は確立されていません。小児白血病治療研究グループでは複数の施設からデータを集め、副作用を必要最小限にし、晩期合併症を残さない治療法の研究をしています。
「臨床試験参加に関する同意書」の内容
- 子どもの病気について
- 臨床試験の目的と方法
- これからの治療の進め方
- 治療の効果と副作用(治療中に出現する副作用。治療が終わった何年も後になって出現する可能性のある副作用)
- 治療費用について
- 他の治療法の有無とその内容
- 研究に参加する利益と不利益
- 記録が関係者に閲覧される可能性について
- 同意した後でも随時これを撤回できること
- 個人情報は秘密保持されること
- 人権の保護について
- 自由に質問できること
- 付随研究について(QOL調査・薬剤感受性試験・微小残存白血病細胞の検出)
私たちは、本臨床試験(JACLS ALL-02)に関して上記の項目について試験コーディネーターまたは担当医師より説明文書を用いて説明を受け、十分理解しました。つきましては、自由意思により下記の条件で研究協力に同意します。また、一旦同意した場合でも、自由に同意を撤回することが出来ることも了承しました。
- ALL-02 臨床試験による治療を受けることに同意いたします。
- QOL調査がおこなわれることに同意します。
- 薬剤感受性試験のために発症時の血液または骨髄サンプルが使用されることに同意します。
- 微小残存白血病細胞検出のために骨髄サンプルが使用されることに同意します。