前回は「カルテ開示費用はいくらかかる?~診療情報開示の料金内訳~」についてまとめました。今回はカルテの保存期間について調べました。

診療記録の保存期間はいつまで?

カルテの保存期間は5年間
手術や看護記録、エックス線写真などの保存期間は2年間

私は、「最後に病院にかかった日から5年間受診しなかったらそれまでの診療記録をまとめて破棄され、定期健診に行っていてば診断当初からのカルテは丸っと残る」と思っていたのですが、どうやら勘違いだったようです。その勘違いを知ったのがつい先日。次男の治療終了後の定期健診時のカルテを開示していなかったことに気づきましたがもう遅い・・・治療が終わって11年5か月も経過しています。

カルテの保存期間は5年間

第二十四条 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
2 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。
引用元: 医師法:電子政府の総合窓口「e-Gov」

手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、入院診療計画書、日誌、処方せんなどの保存期間は2年間

第二十条
十 診療に関する諸記録は、過去二年間の病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、入院患者及び外来患者の数を明らかにする帳簿並びに入院診療計画書とする。
引用元: 医療法施行規則:電子政府の総合窓口「e-Gov」

看護記録も「カルテ」に含まれていて保存は5年間だと思っていましたが、2年間保存すれば良いそうです。

保存期間の起算日はいつ?

では、カルテ保存期間「5年間」の起算日はいつでしょう。

療養の給付関連の帳簿や書類は3年間

(帳簿等の保存)
第九条 保険医療機関は、療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録をその完結の日から三年間保存しなければならない。ただし、患者の診療録にあつては、その完結の日から五年間とする。
引用元: 保険医療機関及び保険医療養担当規則:電子政府の総合窓口「e-Gov」

療養の給付とは、健康保険証(被保険者証)を提示して受ける診療のことです。診察・くすり代・処置や手術などの治療費が含まれます。

保険医療機関及び保険医療養担当規則には「完結の日から五年間」とありましたが、「完結の日」というのはいつのことでしょう。

転帰が決まった時点から5年間

1999年1月27日に開かれた医療審議会総会「医療提供体制の改革について」の議事録には次のような記載がありました。

● 5年間、10年間といっても、それがいつから起算してなのかが明確になっていない。その診療が終わった時点なのか、それともその疾病に関しての診療が終わった時点なのか、明確にしていただきたい。

(事務局)保存期間の運用について、現行では転帰が決まった時点からということになっている。今後も同様の運用を考えている。
引用元: 医療審議会総会「医療提供体制の改革について」の議事録:厚生労働省HP

転帰とは、病気やケガの治療経過と結果のこと。「治癒」「転医」「中止」「死亡」に分類されます。

小児がんに限らず、がんの治療が終わった時点で医師は「治癒した」と言わないはず・・・。

 がんの症状が良くなった時の表現方法として、「治癒」「完治」「寛解」があります。完治と治癒はほぼ同じ意味であり、もっとも望ましい状態ですが、がんの種類によっては寛解が最大限の治療結果ということもあります。「寛解」は、一般的に病状が落ち着いており、臨床的に問題がない程度にまで治ったことを意味します。
 寛解では、まだ再発の可能性は否めない状態ですが、治療を終えてから5年間再発が見られなければ「完治・治癒」と表現されるのが一般的です。
引用元: がん総合情報ポータルサイト・がんのきほん「がん(癌)の治癒・完治・寛解の意味の違い」より

5年間再発が見られなければ「治癒」だとすると、治療終了後5年が起算日になる?

「寛解」と「治癒」の基準に違いはありますが、「治癒」「転医」「中止」「死亡」は書類上の分類のためそこまで厳密ではなく、「治療終了」が「治癒」に相当すると判断されると思います。

保存期間 = 開示範囲 ではない!?

カルテ保存期間は5年間でも開示できる範囲はそれより短い場合もありますので、カルテ開示をご検討中の方は病院のホームぺージをご覧になるか窓口でお問合せいただくのが何より確かな情報です。

  • 聖マリアンナ医科大学病院の場合
    「診療継続中のもの、または最終診療後5年以内の診療録(カルテ)、看護記録、検査記録、画像データ等、診療を目的として当院にて作成されたものとします」

カルテ開示をご検討中の方へ

病院のホームページに「診療情報開示」「カルテ開示」など手続きの流れや費用について掲載されている場合がありますので、いきなり窓口へ行って申請手続きをするのではなく、開示できる内容や費用などをご確認の上、何のために開示するのかを明確にしてから手続きすることをお勧めします。裁判をしないのならば、全開示は必要ないと思います。

カルテに関する注意点もありますので参考までに。

  • カルテには専門用語が並んでいるので、簡単に理解できるような内容ではありません。
  • 電子カルテになる前は手書きなので、字が汚いと読み取り不可能
  • 日本語以外に英語やドイツ語で記載されていることもあります。
  • カルテには患者さんの診療記録が細かく記載されています。知ることができた喜び以上に辛かった頃の記憶が蘇って、さらに辛くなることがあるかもしれません。
  • 医療従事者が記載した言葉を誤解して解釈する恐れがあり、医療従事者との関係に影響が出るかもしれません。