「治すことができない病気」を「治せる病気」にするために、私にできることって何だろう?

7月16日(月・祝)は、「名古屋小児がん基金」設立2周年記念イベント「CAR-T療法の最新情報とゲノム医療」が開かれ、盛会のうちに終えることができました。

名古屋小児がん基金は、小児がんの子どもたちが世界トップレベルの医療を受けられるように、名古屋大学小児科で行う研究の支援活動をしています。今回のイベントは、活動内容の説明とご支援ご協力のお願い、皆様からいただいたご寄附がどのようなカタチで使われ、その結果どのような成果が得られたのかをお伝えするために開かれました。

先生方の講演中も私は受付係に徹する覚悟でいたのですが、司会担当の矢野きよ実さんに、実際に会場で観て聴いて雰囲気を感じたほうがいいと勧められ、受付は他の方にお願いすることに。イベント開始から最後まで、私は客席にいました。

ステージでは、治療を終えたお子さんが「ありがとう」と言って(言わせて?)最高の笑顔をこぼす村松先生の姿、攻めのトーク術を繰り広げる矢野さんへの返答に、先生方は慌てたり照れたりして会場に笑い声が響きます。

イベントが終わってようやく、私は矢野さんの言葉の意味を理解しました。情報を得ただけではなく、たくさんの感動・笑顔・感謝にあふれ、こんなにも笑って泣いて感動した小児がんのイベントに出席したのは初めて。参加してよかった!

先生方の講演内容は名古屋小児がん基金ウェブサイトで公開されるそうですので、今回は、私が会場で感じたことを中心にお伝えします。

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「CAR-T療法」と「ゲノム医療」

今回のイベントでは「CAR-T療法」と「ゲノム医療」について名大病院の先生方がお話され、それぞれの治療を受けた女の子お二人が元気な姿を見せてくださいました。再発したことに加え他に治療法がないと告げられたご家族にとって、CAR-T療法とゲノム医療は藁にもすがる思いで同意された治療だったでしょう。

彼女たちはそれらの治療を受けた結果、がん細胞は消えて元気になりました。多くの方が、我が子も彼女らのように元気になることを願い、CAR-T療法やゲノム医療を受けられる日を待ち望んでいらっしゃいます。

彼女らが治療を受けた経緯は新聞記事やパンフレットを読んで知っていましたが、当時を振り返るお母さん方の言葉は実際に聴くと重みがあり、嬉しい想いは真っ直ぐ伝わってきました

CAR-T療法を受けられずに天使になったゆめちゃんのお父様も会場にいらっしゃり、募金活動をする中でたくさんの方の優しさに触れたというお話をされました。「助かるのであれば、広めてもらいたい」---ゆめちゃんのお父様の言葉をしっかりと受け止め、行動に移していこうと決めました。

安価なCAR-T細胞治療の実用化を目指し、それを日本中の患者さんに届くようにするため、そして、網羅的遺伝子解析を行って小児がんの原因解明や治療法を開発するために、先生方の研究は続きます(講演内容をここで簡単に説明することができないので、「CAR-T療法」と「ゲノム医療」については、改めてまとめる予定です)

7/16 イベント「CAR-T療法の最新情報とゲノム医療」in名古屋/名古屋小児がん基金

どあらっこ、横紋筋肉腫 家族の会、CAR-T署名活動の友だち

会場では、メディカルカフェどあらっこ・代表 中村くんのお母さんとの再会し、ちぇきさんの紹介で、横紋筋肉腫 家族の会・共同代表 ららさんと初対面。ゆっくりお話しできなかったので申し訳なかったのですが、声をかけていただけて嬉しかったです。

他にもCAR-T署名活動の発起人である藤原さんご夫婦も遠方からいらっしゃいましたので、はるちゃんの様子や署名活動後の状況を伺いました。抗がん剤を投与して完解に入っても、またすぐに白血病細胞が出てきてしまう状態だそうです。治療は順調に進んでいるのですが、その分、CAR-T療法を受けられるタイミングと合わなくなる可能性も高いので喜んでいられない・・・複雑な心境をお聞きしました。

食事会でさらに熱い想いを語り合う

イベント終了の打ち上げは11名が参加し、その中に名大小児科・名誉教授の小島勢二先生と教授の高橋義行先生もいらっしゃいました。隣に小島先生、正面に高橋先生という特等席に私は座り、食べて飲んでたくさん笑って。皆で今日の反省などを話しながら、難病の子ども(または治療を終えた子ども)がいる親、先生方、サポートする方、それぞれの立場で本音を語り合いました。

「治すことができない病気」を「治せる病気」にする。そんな夢のような話を実現してくださる先生方だと確信し、協力したいという想いがますます強くなった食事会。

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私にできることって何だろう?

私が名古屋小児がん基金のサポーターになるまでの経緯

小島先生と高橋先生と何度もメールをする中で感じたのは、患者家族の立場になって考えて寄り添ってくださる先生方だということ。いつ休まれているのか心配になるほどいつも子どもたちのために一生懸命で、丁寧なお返事をいただきます。イベント終了後、先生方のもとへ質問にいらっしゃる方にも丁寧に対応される姿が印象的でした。

5月19日に小島先生と初めてお会いして、講演会を独り占めしたような(実際には事務局の方2名もいらっしゃいました)約3時間にわたる贅沢な時間の中で、140枚のスライドを見ながら得た情報はどれも患者家族側の想いをしっかりと受け止めて、それに応えるような内容で感動しました。

私が小児がんの活動から少し離れていた6年間に医学が大きく進歩していること、治療が困難な病気を治せる方法が見つかっても簡単には提供できない現状を知り、私にできることがあればぜひ協力させていただきたいと伝えて「名古屋小児がん基金」のサポーターに登録し、6/29の定例会参加、今回のイベント運営の手伝いにつながりました。

私自身が見て聴いて得た情報を言葉にして、たくさんの方に発信することはできます。それが、今の私にできることかなと思います。

名古屋小児がん基金「活動報告2017」とスライドのコピー

まずは関心を持つことから

助かる道がなかった子どもたちに未来へ続く希望の道を創ってくださった先生方は、更なる研究を続けていらっしゃいます。それには多額の研究費用が必要になるため、小島先生は名古屋小児がん基金を立ち上げられました。

我が家は母子家庭で金銭的な余裕がないため、寄附する額はほんの気持ち程度しかできませんでした。お子さんが治療中のご家族も何かと出費が重なり、寄附できるほど余裕がないご家庭もあるでしょう。寄附金がたくさん集まれば解決できることはたくさんあると思いますが、寄附することだけがすべてではない。できることを、できる範囲でする、そういった支援も長く活動を続けるうえで心強い存在です。

名古屋小児がん基金の活動に関心を持ってもらえれば、そこから繋がり広がっていきます。名古屋大学小児科が行っている研究や名古屋小児がん基金の活動に触れる過程で、「寄附しようかな・・・」と思っていただけたら、それは本当に嬉しいことです。

「治らなかった病気」が「治るようになった病気」になり、たくさんの子どもたちが大人になれますように。

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