約1か月にわたり「CVカテーテルのトラブルと保護カバーについて」アンケート調査を実施しました。集計データは【アンケート結果・データ】をご覧ください。

以下に集計結果と考察を掲載しましたので、ご意見・ご感想などいただければ幸いです。メールはこちらからお願いします。

趣旨・目的
・ 医療従事者と患児家族が安心して使えるCVカテーテルカバーをメーカーさんに製品化してもらう
・ CVによるトラブルの現状と対策方法の情報を共有する
調査期間
2017年10月30日(月)~11月30日(木)
対象者
0歳~18歳までに中心静脈カテーテル(CVC, CV, IVH)を使用または使用経験のある患児・経験者・家族。
有効回答数
有効回答数 233件 回収数(239)内 白票(6)
調査方法
「輝く子どもたち」サイトにてアンケートを開始。個別にメッセージを送信し、SNSや「小児がん患者会ネットワーク」を通じて呼びかけを行い、開始から10日間で185件(77%)の回答を得た。
アンケート項目設定や呼びかけには「みんなのカテーテル制作委員会」石嶋氏、岩倉氏の協力を得て実施。
アンケート結果のサマリー
CVC使用者の7割ほどが乳幼児であり、大人が思いもよらない行動をとるために起こる「事故抜去」「自己抜去」「ルートやプラグの破損」が目立ち、CVCルートの固定・保護率は他の年齢と比べて高かった。
テープのみ使用した(75人)とカバーおよび巾着袋のみ使用した(63人)を比較すると、固定方法の違いでトラブル発生に大きな差は見られなかったものの、「事故抜去」「挿入部分の異常」「ルートやプラグの破損」においてカバーおよび巾着袋を使用したほうが効果を実感する人が多かった。
上記の結果から、テープよりカバーや巾着袋の使用はトラブル発生を抑えられると考えられるが、首紐に恐怖心を抱いたり事故抜去につながったりする恐れもあるため、カバー等の形状、使用時の年齢・環境には注意が必要である。



回答者の分類

患児・家族の分類

患児・家族の分類

CVカテーテル使用時の年齢

CVC使用時の年齢 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
乳幼児が全体の 67% を占めた。この時期の子どもは大人が思いもよらない行動をするため、トラブルは多くなると考えられる。

CVカテーテル使用期間

CVC使用期間 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
CVカテーテルを半年から1年半使用した方が全体の 67%あり、入院が長期化または退院後もCVカテーテルを使用していることがわかる。
小児がんの治療中は外泊したり退院して外来治療に移行したりする場合もあるため、必ずしもすべての治療が終わるまで入院しているわけでない。家庭での生活は入院中よりも行動範囲が広がり活動量も多くなるので、必然的にトラブルは増えると考えられる。

CVカテーテルの固定方法

【年齢別】ルートの保護・固定率

年齢別ルートの保護・固定率
年齢が高くなるにつれてルートを保護・固定しなくなる傾向にある。

ルートの保護・固定方法

ルートの固定方法 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
回答者の2人に1人はテープでルートを固定した経験者だった。
「その他」の回答の中には、「特製ベストを作った」「病衣にテープで固定」「肌着に切れ込みを入れルートを外側に出し、ベビー服の裏側にテープで貼り付けて固定」等、患児家族が工夫して対処している様子が推測できる。

テープ VS カバー・巾着袋 効果の違い

「トラブルがあった」と回答した中の、テープのみ使用した 75名、カバー・巾着袋のみ使用した 63名が対象。
テープVSカバー・巾着袋 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
カバー・巾着袋等使用者2人に1人が事故抜去防止効果を実感している。
テープ固定とカバー等で保護、どちらも事故・自己抜去の防止に効果があったと答えた方が目立った。テープ固定とカバー保護の間に大きな差が見られたのは、ルートやプラグなどの破損防止と感染症の防止だった。

CVカテーテルカバー・巾着袋の交換頻度

CVカテーテルカバー・巾着袋の交換頻度 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
カバーや巾着袋などを利用してCVCを保護した方の42%が、1日~3日に1回程度カバー等を交換すると回答した。1週間に1回というのは、CVカテーテル挿入部分の消毒時と同じタイミングの可能性が高い。他には「汚れが目立ってきてから」「特に決めていない」など。

CVカテーテルカバー等の準備は病院の指示?

CVカテーテルカバー等の準備は病院の指示? CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
病院からの指示と回答したのは71%だった。

CVカテーテルカバーの準備の負担

CVカテーテルカバーの準備の負担 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
45%がCVカテーテルカバーや巾着袋などの準備が負担になったと答えた。病院側やボランティアの方がカバーや巾着などを準備してくれたり、市販のタオルやポーチなどに少し手を加える程度の縫製で済んだりする場合もある。また、カバー等の形状は病院や子どもの年齢によって変わるため、裁縫の得意不得意も関係すると考えられる。

CVカテーテルカバー等の準備で困ったこと

CVカテーテルカバー等の準備で困ったこと CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
入院の付き添いをする中で材料を買いに行き、カバーを複数枚作る時間的・精神的余裕のなさが、カバーや巾着袋などを準備する親の負担となっている。

また、CVカテーテルがどのようなものなのかわからない、生活する上でどのような不便さやトラブルがあるのかもわからない中でカバー制作をしなければならず、「見本がない」「作り方を教えてもらえない」などの意見も多かった。

CVカテーテル使用中のトラブル

テープVSカバー巾着袋 トラブル発生の比較

テープのみ使用した 75名、カバー・巾着袋のみ使用した 63名が対象。テープとカバー・巾着袋以外の固定方法および両方使用した方は対象外。
テープVSカバー巾着袋 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
トラブルがあったと回答した、テープのみ使用した場合とカバーまたは巾着袋を使用した場合を比較。

カバー及び巾着袋を使用した人の32%にトラブルがなかった。テープのみ使用した全員が何らかのトラブルが発生したと回答したのに対し、カバー・巾着を使用した方は 68% と大きな差が出た。CVカテーテル使用初期段階でカバー・巾着袋を使用した効果であると考えられる。

【年齢別】トラブル発生の比較

年齢別トラブル発生の比較 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
年齢別トラブル発生の比較 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
乳幼児と小学生以上の患児に発生したトラブルの違いを比較したところ、乳幼児は、CVカテーテルを意識しながら生活できる小学生以上の子どもと違い事故(自己)抜去が多く、ルートやプラグの破損も大きな差が見られた。

設問⑦の結果で、カバー等を使用した141名の50%がCVカテーテルを保護することにより事故抜去を防止でき、28%が自己抜去防止に効果を感じている。また、カバー等はルートのねじれによる閉塞やルート・プラグの破損を回避する役割も大きい。

【固定方法別】トラブル発生の比較

固定方法別トラブル発生の比較 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果

トラブル発生と固定方法による効果の比較

トラブル発生と固定方法による効果の比較 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
固定方法別トラブル発生の比較 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
皮膚の炎症やかゆみにはカバーや巾着袋の使用が有効であると考えられる。何かに引っかかって抜けたり抜けかかったりする(事故抜去)は、カバー・巾着袋使用者が多かったため、ルートを包む布の厚みや首紐などに工夫が必要である。

カバーに求める条件

自由記入項目の回答率 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果

CVカテーテルカバーに求める条件

CVカテーテルカバーに求める条件 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
肌にやさしい素材である(27件)、身体にしっかり固定できる(22件)、開閉・着脱しやすい単純構造である(10件)、個々のサイズに合わせられる(8件)などの意見が多かった。

CVカテーテルカバーに求める条件 CVカテーテルのトラブルと 固定・保護に関する実態調査・集計結果
カバー装着による衣服の膨らみを気にする一方で、プラグが肌に当たる痛みを軽減させるためにクッション性を求める声もあった。
カバーを清潔に保つため、洗濯による耐久性は必要。しかし、入浴時のCVC保護に悩みを抱える方も多く、防水タイプのカバーを求める声も目立った。

カバーに求める条件

固定方法の工夫

テープ

カバー

  • 紐の引っ掛かりが怖くてスナップを使用。
  • 毎回ひもを結ぶのは面倒だと思ったのでマジックテープ使用。
  • ハンドタオルでルートを包んで巾着を使用。
  • 冬用は肌が荒れないようにカシミヤのマフラーを使って制作した。

その他

  • 【胸帯】小さな円形のマジックテープで留めるようにしたら便利だった。
  • 【ベルト】乳児だったのでズボンの下から管を出し、足首にボタンで簡単に止められるベルトをガーゼで作った(足首側と管側と8の字のような感じ)。閉塞がかなり軽減した。
  • 【ベスト】ベストの内側にポケットを作りルートを収納。
  • 【スタイ】傷口が隠れるようになるため、傷口をかきむしったりCV自体に触れたりする事がない。
  • 【スマホ袋】百均で購入。ルート部分を収納するのに丁度よいサイズで、紐を横に縛って長さ調節だけで完成。
  • 【指サック】投薬していないときは指サック型の包帯をキャップのようにして先端からプラグの部分にかぶせていた。
  • 【ポシェット】ルートを束ねて収納。肩ベルトの幅は広めにすると痛くない。
  • 【医療用筒状包帯】腕のCVでカテーテル部分を筒状包帯で包み、新たな筒状包帯で腕と包んだカテーテル部分をアームカバーのように付けた。医療用の物を使い捨てで使用したので衛生面でも安心した。
  • 【ミトン・脚カバー】新生児用のミトンやイスの脚カバーに紐を縫い付けて使用。

アンケートのデータ




アンケートの集計結果は下記リンクよりPDFファイルをダウンロードできます。

感謝

このアンケートのためにお時間をいただいた方、会員の皆さんへお知らせを配信していただいた患者会の皆様、SNSでお友だちにお知らせしていただいた方、CVC固定に関する情報をいただいた医療従事者の皆様、その他大勢の方にご協力いただきアンケート調査を終了しました。ご協力に感謝いたします。誠にありがとうございました。

今後の活動に役立つ多くの声が集まり、集計結果を皆様と共有することで、子どもたちとご家族の痛みやストレスが少しでも軽減できれば幸いです。(山崎仁美)

みんなのカテーテルカバー制作委員会
● 石嶋瑞穂「Mammies Hours SHOP
● 岩倉絹枝「コドモフクひよこ屋
● 山崎仁美「輝く子どもたち 小児白血病 完治の記録