小児がんの息子がすべての治療を終えた時点で、カルテ開示請求をしました。その時に受け取ったカルテの中身、手続きの流れ、かかった費用などを詳しく掲載しました。
カルテ開示第1号 診療情報開示請求手続きをする
カルテ開示 = 裁判!? 青ざめる事務員さん VS 心配性の母親
子宮頸がんの治療を受けたひみ子さんのホームページ「癌々行こうぜ」でカルテ開示ができると知り、私も次男のカルテ開示請求をすることにしました。「カルテ」とは、病院に伝えた患者自身の情報・病気の診断・治療の内容・検査結果などの診療記録のことです。
治療終了まで残り半年になった2006年春、カルテを開示するにはどうしたらいいのか病院の受付窓口で質問しました。どうやらこの病院でカルテ開示を求めたのは私が初めてらしく、事務員さんは裁判を起こされるのではないかと青ざめた表情で心配していました。「息子が成人したときに渡すため」と正直に話したのですが信じてもらえず、医事室に案内され、そこで事務員さんにカルテ開示の理由を詳しく話してなんとかわかってもらえました。
カルテのコピーは、大人になった次男が自分の病気と向き合うときの助けになるのではないかと思いました。病気と治療について詳細な記録があれば、インターネットや専門書を開いて自分で調べられます。また、主治医が変わったり転院したりするときは先方に次男の情報は伝えられますが、自分の手元にもカルテのコピーがあれば心強い。何しろ心配性なので・・・。
カルテ開示は過去の分しか請求できません。今申請すると治療終了までの半年分は再度手続きをしなくてはならないため、治療がすべて終わってから申請したほうが良いのではないかと事務員さんからアドバイスをもらい、カルテ開示請求は秋に延ばしました。
そして迎えた治療終了!! カルテ開示しますぞ!
カルテ開示請求・手続きの大まかな流れ
- 所定の申請書に記入
- 事務員さんが主治医にカルテ開示をしてもいいか確認する
- 審査
- 承認の場合、カルテのコピーの引渡しと支払い
カルテ開示申請
申請日:2006-11-01
治療終了後、初めての外来(血液検査)の日に、病院の医事室でカルテ開示の手続きをしました。個人情報の関係で、開示できるかどうか2週間以内にお返事します、とのこと。
- 請求者の免許証を提示。
- カルテのコピーは、入院当初から現在までの診療録(2年2か月分)すべてと頭部MRI画像。薬剤の記録は必要ないと思い除外した。
- 開示理由は「息子に渡すため、息子の治療について把握したいため。医療者に対する不満や不信感は一切ないこと」を伝えた。
審査結果の連絡:2006-11-15
病院から「承認されたのでコピーも揃えました。明日以降でしたらお渡しできます」と電話があり。
カルテのコピーを受け取る
医事室にて以下のものを受け取り、費用(コピー代のみ)を支払いました。
- カルテのコピー(「カルテに入っていた文書」に詳しく記載)
- MRI画像コピー(フィルムをもらった)
- 「保有個人情報開示等請求承諾否決定通知書」
- 「保有個人情報開示に係る文書複写料の納入通知書兼領収書」
カルテ開示請求にかかった費用
合計 5,923円
<内訳>
カルテコピー代(A3サイズで 334枚×1枚10円)
MRIフィルムコピー代(最初の1枚1,575円、2枚目から1枚につき334円×3枚)
※病院によって費用は異なります。私は薬剤関係書類の開示を省いたので1万円もかからなかったのですが、他の方の話を聞くと数万円かかった方が多かったです。レントゲンなどの写真コピーは高いのです・・・。
カルテに入っていた文書
診断書、同意書などの文書
診断書(特定疾患、各種手当)
同意書(輸血、臨床試験、手術)
退院証明書
紹介状
高診依頼書
問診票
入院時質問表
入院診療計画書
プロトコール
ALL-02登録手順、チェックリスト
患者外出(外泊)許可願
検査結果
細菌検査報告書
表面マーカー報告書
CD45ゲーティング報告書
染色体検査報告書
骨髄細胞検査報告書
血液検査報告書
生化血清検査報告書
一般検査(尿)報告書
細胞診検査書
病理組織検査書
心電図
記録
小児科入院患者病誌
医師の記録(症状、経過、投与薬剤名と量)
看護記録(親子の様子)
入院概要
看護記録(食事・尿量・体温)
手術患者記録
MRI 記録
麻酔経過記録
薬剤管理指導記録
麻酔科手術患者・術前・術後診察記録
カルテ開示してよかったこと
看護記録は私たち親子の言動がきちんと記されていて、感謝の想いでいっぱいになりました。看護師の皆さんに話を聴いてもらえたことで、私はずいぶん救われました。当時の記憶も蘇ってきます。カルテ開示してよかった。私と息子の大切な宝物です。
参考サイト
手続き方法や費用などについて詳しく説明されていてわかりやすかったです。
カルテ開示をご検討中の方へ
病院のホームページに「診療情報開示」「カルテ開示」など手続きの流れや費用について掲載されている場合がありますので、いきなり窓口へ行って申請手続きをするのではなく、開示できる内容や費用などをご確認の上、何のために開示するのかを明確にしてから手続きすることをお勧めします。裁判をしないのならば、全開示は必要ないと思います。
カルテに関する注意点もありますので参考までに。
- カルテには専門用語が並んでいるので、簡単に理解できるような内容ではありません。
- 電子カルテになる前は手書きなので、字が汚いと読み取り不可能。
- 日本語以外に英語やドイツ語で記載されていることもあります。
- カルテには患者さんの診療記録が細かく記載されています。知ることができた喜び以上に辛かった頃の記憶が蘇って、さらに辛くなることがあるかもしれません。
- 医療従事者が記載した言葉を誤解して解釈する恐れがあり、医療従事者との関係に影響が出るかもしれません。