※志智央議員ご本人から、お写真掲載・ブログ引用の許可をいただいています。

前回は、予防接種のワクチン再接種費用の公費助成を求めて声をあげてくれた仲間たちと、再接種費用の公費助成を実施している自治体をご紹介しました。


今回は、小児がん患者家族の声を市議会へ届けて助成制度創設に繋げ、国へ意見書を届けてくださいました、稲沢市議会議員志智 央(しち おう)議員の取り組みをご紹介します。志智議員は中学・高校と不登校を経て、作業療法士として病院に勤務した経歴がある議員さんです。

志智議員は、2017年9月に小児がんの子をもつ母親から再接種費用の助成について相談を受けました。その後、独自に調査をして担当課に掛け合い、2017年12月の市議会にて再接種費用の助成制度創設の提案が採択されました。

そして、2018年4月に愛知県稲沢市で、骨髄移植などの治療により、治療前に接種済みの定期予防接種の予防効果が期待できないと医師に判断された場合、再接種にかかる費用の一部を補助する「稲沢市特別の理由による任意予防接種費用の補助」がスタートしました。


志智議員のブログと稲沢市議会議事録をもとに、再接種費用の助成制度ができるまでの経過、その後の志智議員と稲沢市の取り組みをまとめました。

市民の声を市議会へ届ける

小児がん患児の母親からの相談

2017年9月
志智議員は小児がん患児の母親から相談を受けました。

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小児がん患児の母親
 抗がん剤治療を受けると、過去に受けた予防接種の抗体が消えることがあります。再接種は実費となるため、市による助成をしてもらえませんか?

相談者から、治療によって抗体が消える可能性があることや経済的負担の大きさを聴いた志智議員は、病院に勤務していた頃に、子どもに付き添って通院する保護者の姿を思い出しました。

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志智議員
 “感染症の蔓延を防ぐ”という予防接種の目的を考えると、特別な事情で抗体が失われた場合に限りフォローが必要では?
 それは結果的に、子育て支援にもなるのでは?

志智議員は小児がん患児家族の想いを受け、立ち上がりました。

行政の懸念材料と他の自治体への聞き取り調査

行政の懸念材料と他の自治体への聞き取り調査

2017年10月
志智議員は、特別な理由で予防接種のワクチン再接種の助成が可能であるかどうか担当課に問い合わせたところ、担当課から、「元々抗体が付かない人も補助が必要だと声が挙がり、全てを網羅すると予算が高額になるのではないか」という回答を得ました。

志智議員は行政が懸念している要素を把握すると、既に助成している自治体に電話をして調査を開始。実際にかかった費用と人口から、稲沢市で行なう場合をシュミレーションしました。

中日新聞で再接種費用の助成を特集

中日新聞で再接種費用の助成を特集

2017年10月24日
タイミングよく、中日新聞の花井記者が再接種費用の助成について取り上げ、小児がんなどの治療によって予防接種の抗体を失い、小児がん患児家族から再接種費用の助成を求める声が上がっていること、愛知県や三重県で助成を制度化したり前向きに検討したりする自治体があることを伝えました。

名大病院を訪問「治療後に特別なフォローは必要なのか」

名古屋大学医学部附属病院・名大病院

2017年11月
志智議員は、名古屋大学医学部附属病院を訪問しました。行政が不安に思っている「治療によって抗体は失われるのか」「治療後に特別なフォローは必要なのか」の答えを専門家から直接聞き、再接種助成は必要であると確信します。

詳細は志智議員のブログをご覧ください。

市議会で採択「来年度から実施する方向で調整中」

市議会で採択「来年度から実施する方向で調整中」

2017年12月12日
志智議員は、稲沢市議会(平成29年 第4回 12月定例会)の一般質問に登壇し、小児がん患者家族の付き添い入院による精神的・経済的負担の大きさを伝え、加藤市長と福祉保健部長に再接種費用の公費助成について問いかけました。

福祉保健部長からは、法律で定められた期間に、定められた回数以外の予防接種を行う場合は、全て任意予防接種となり全額自己負担になることと、平成28年度に稲沢市で小児がんにより小児慢性特定疾患医療費助成を受けた人数(18名)が報告されました。

加藤市長は中日新聞の記事をご覧になり、抗がん剤などの治療により抗体が消失して、再接種が必要になることをご存じでした。

「小児がん治療の一環として再予防接種費用を組み込んでいただけるといい」と要望を伝えた後、「予防接種費用助成について、対象とする範囲や内容を検討し、要綱等を定め、来年度から実施する方向で今調整しているところであります」と回答。

稲沢市議会 議事録 平成29年 第4回 12月定例会-12月12日-04号

助成制度スタート

稲沢市特別の理由による任意予防接種費用の補助

2018年4月
愛知県稲沢市で、「稲沢市特別の理由による任意予防接種費用の補助」が開始。稲沢市民が、骨髄移植手術等を受けたことにより、接種済みの定期予防接種の予防効果が期待できないと医師に判断された場合、再接種にかかる費用の一部が補助されます。

2018年4月25日
助成制度が開始されて間もなく、志智議員のもとに小児がん患児家族から、この制度を利用したいという問い合わせがありました。行き違いにより行政とコンタクトが取れていなかったそうで、志智議員が仲介して手続きを進められました。

全国にいる小児がん患児家族の声を国へ届ける

小児がんの子どもがいるのは稲沢市だけではない

地方議会から国へ声を届けよう

2018年12月
志智議員は、稲沢市が行なっている再接種費用の負担軽減を全国でも行ない、万が一健康被害が起きた場合は国が支援できないかと考えました。

そこで、地方議会から国へ意見書を提出するため、志智議員は再び動き始めました。他の議員からの賛同も得られ、意見書は稲沢市議会へ提出されることになります。

ワクチンの再接種制度の実施を求める意見書を国へ提出

ワクチンの再接種制度の実施を求める意見書を国へ提出

2018年12月21日
稲沢市議会 (平成30年 第5回 12月定例会)にて、「骨髄移植手術等の医療行為により抗体が失われた場合のワクチンの再接種制度の実施を求める意見書」が提出されました。

結果は、全会一致で採択。稲沢市議会から国に意見書が提出されました。

稲沢市議会 議事録 平成30年 第5回 12月定例会-12月21日-05号
稲沢市議会 議事録 平成30年 第5回 12月定例会-12月21日-05号(付録)

志智議員からのメッセージ

志智議員が2017年12月の市議会で加藤市長の答弁後に話された内容と、2018年8月のブログで不登校の子どもたちに向けたメッセージに感銘を受けましたので、最後に紹介させていただきます。

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志智議員
 本来であれば、国が自然にそういった事業に取り組んでくださるとありがたいのですが、国が始める前に自治体が声を上げて、こういった事業に積極的に取り組んでいくということも重要であると考えます。

 医学の進歩によって小児がんにかかった方の8割は治ると言われていますが、治療後も再発の恐怖と闘い続けていくことになります。

 私は今回、当事者の方から相談を受けることで子供と親が置かれる苛酷な状況を知りました。今、この時間も闘っている彼らにとって、少しでも支えとなるような施策の導入を心から願って今回の一般質問を終えます。ありがとうございました。
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志智議員
 自信を無くしてしまっているかもしれないけど、今回はたまたまその学校と生徒が、君に合わなかっただけだ。

 必ずどこかに君を必要だと言ってくれる場所があるし、君のことを良いやつだって思ってくれる人がいる。絶対だ。

 だから、今は自分を守って、大切にしてほしい。不登校の大先輩として、いつでも相談乗るよ。

今回、小児がん患者家族の想いを受け取った議員さんが、制度化に向けてどのような取り組みをしていらっしゃるのか調べていたところ、志智議員のブログに辿りつきました。

志智議員と直接連絡を取り、私のブログで志智議員の取り組みを紹介させていただきたいと申し出たところ、快く受け入れてくださいました。ありがとうございました。昨年秋にお子さんが誕生し、父親になられた志智央議員の、益々のご活躍をお祈り申し上げます。

仲間とともに声をあげよう

仲間とともに声をあげよう

声をあげること、それは時間と労力が必要です。勇気も、仲間も必要です。一人でできることには限界があるけれど、二人、三人・・・もっとたくさん集まればできることも増えていって、声も届くはず。

ひとりで立ち上がり、自治体へ声を届けようとしている方のお手伝いができないか・・・梅田さん・江田さんと考え中です。みんなで自治体や国へ声を届けましょう。

ワクチン再接種助成の制度化を求める署名活動も始まっています。署名したことをインターネット上で非公開とすることも可能ですので、ご協力をお願いします。