小児がんと診断されたご家族は、様々な手続きを行わなければなりません。病院、学校・幼稚園・保育所、市役所、保健所・・・窓口となる場所は違い、揃えなければならない書類がたくさんあります。助成金・給付金を中心に、お金に関する情報をまとめましたので、該当する制度がありましたら早めにお手続きください。
助成金・給付金
小児慢性特定疾病の医療費助成
慢性疾患のため、長期間にわたり療養しなければならない子どもがいる家庭の医療費負担を軽減することと、その治療の確立と普及を図るために、医療費の自己負担分の一部(重症患者と認定された場合は全額)を国が補助する制度。自治体が医療費を補助する「乳幼児医療」とは別制度。
- 対象者: 小児慢性特定疾病と診断された、申請時18歳未満の方。治療終了後5年まで継続可能で、20歳までに再発が認められた場合は再度対象になる。なお、組織と部位が明確に診断されていれば、積極的な治療が必要ではないまたは治療ができないと認められた場合も対象となる。
- 申請窓口:住所地の保健所
小児慢性特定疾患児日常生活用具給付事業
在宅の小児慢性特定疾患児に対し、日常生活用具の給付を行う制度で、世帯の所得状況により費用負担額が決まっている。
- 対象者:給付対象用具ごとに対象となる基準が定められている。
- 給付対象用具:特殊マット、特殊便器、特殊尿器、特殊寝台、歩行支援用具、入浴補助用具、体位変換機、車いす、頭部保護帽、電気式たん吸入器など
- 申請窓口:住所地の保健所
がんの子どもを守る会 療養助成
がんの子どもを守る会による、個人に対する経済的援助(一疾病で一回限り)。
- 対象者:18歳未満で小児がんを発症し、申請時20歳未満の抗腫瘍治療中の患児の家族。その他に条件、所得制限等あり。
- 申請窓口:公益財団法人がんの子どもを守る会(のぞみ財団)
特別児童扶養手当
心身に障害のある20歳未満の子どもを、監護または養育している保護者に対して支給される。児童扶養手当とは別制度で、要件を満たしていれば両方とも受給可能。所得制限あり。小児がんでも受給できる可能性あり。
- 手当額:月額 1級 52,400円、2級 34,900円 (令和4年4月より適用)
- 申請窓口:住所地の市区町村
障害児福祉手当
心身に著しく重度の障害があるため、日常生活において常時の介護を必要とする20歳未満のお子さんに対して支払われます。所得制限あり。小児がんでも受給できる可能性あり。
- 手当額:月額 14,850円(令和4年4月より適用)
- 申請窓口:住所地の市区町村
GRN小児がん交通費等補助金制度
小児がんの診断・入院治療(治験含む)のため、病院と自宅が片道100km以上離れている遠隔地の病院へ通う場合の交通費及び宿泊費を補助する(通院による治療、抗腫瘍治療後の検査・検診は対象外)。
- 対象者:小児がん(悪性新生物)と診断された、申請時20歳以下の抗腫瘍治療中の患児とその家。所得制限あり。
- 申請窓口:認定NPO法人 ゴールドリボン・ネットワーク
介護休業給付金
雇用保険の被保険者が、家族の常時介護のため2週間以上の休業が必要になったとき、職場復帰を前提として介護休暇を取得した場合に支給される給付金。
- お問い合わせ:公共職業安定所(ハローワーク)
甲状腺がん子ども基金 療養費給付
東京電力福島第一原発事故以降に甲状腺がんと診断された、事故当時18歳以下の方に療養費を給付。その他、妊娠中の支援、通院交通費の助成なども行っている。
- 対象者:甲状腺がんと診断された方のうち、原発事故当時(2011年3月)18歳以下で下記の1都15県に居住されていた方
- 対地域:秋田県・岩手県・山形県・宮城県・福島県・宮城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟県・長野県・山梨県・静岡県
- お問い合わせ:NPO法人 3・11甲状腺がん子ども基金
特別支援教育就学奨励費
障害のある子どもが学校で学ぶ際に、保護者が負担する教育関係費用(通学費、給食費、教科書費、学用品費、修学旅行費など)について、家庭の経済状況に応じ、国及び地方自治体が補助する制度。
- 対象者:特別支援学校または小中学校の特別支援学級に在籍している児童生徒の保護者、もしくは通常学級に在籍する児童生徒で学校教育法施行令第22条の3に該当すると教育委員会が判定した児童生徒の保護者。
- お問い合わせ:学校または住所地の市区町村
淳彦基金
HLA研究所での検査費用の一部(または全額)を、生活保護受給者、母子家庭などの経済的事情のある方に給付される。申込書は、特定非営利活動法人HLA研究所ホームページからダウンロード可能。主治医を通じて申込する。
- お問い合わせ:「淳彦基金を育てる会」代表 勝木敬子
手帳
身体障害者手帳
身体障害者福祉法に規定する障害者に該当すると認められた場合に交付される手帳。初診日から6か月経過した日、または傷病が固定した日から申請可能。
- 申請窓口:住所地の市区町村
療育手帳
知的障害をもつ子どもに対して交付される手帳で、精神疾患と日常生活や社会生活での障害の状態の両面から総合的に判定される。初診日の証明は不要。
- 申請窓口:住所地の市区町村
精神障害者保健福祉手帳
精神疾患により、長期にわたり生活に制約がある方に交付される手帳。初診日から6か月以上経過していることが必要。
- 申請窓口:住所地の市区町村
税金の控除
医療費控除
その年の1月1日から12月31日の1年間で、自分または家族のために医療費を支払った場合に、確定申告をすれば税金が還付される制度。支払った医療費から保険金などを差し引いた額が、一定額以上の方は還付申告ができる。
- 申請窓口:税務署、税務相談室
- 申告時期:毎年2月16日から3月15日まで
自立支援
小児慢性特定疾病児童等自立支援事業
慢性的な疾病を抱える児童及びその家族の負担軽減及び長期療養をしている子どもの自立や成長支援について、地域の社会資源を活用するとともに、利用者の環境等に応じた支援を行う。
- 対象: 18歳未満(引き続き治療が必要であると認められる場合は、20歳未満)の方。
- 支援内容: 相談窓口、交流会、関係機関との連絡調整など
- 申請窓口: 「小児慢性特定疾病情報センター」Webサイトで、各自治体担当窓口をご確認ください。
予防接種関連
長期にわたり療養を必要とする疾病にかかった者等の定期接種の機会の確保
長期療養を必要とする重篤な疾病にかかるなどの理由により、対象年齢内に定期予防接種を受けられなかった方が、一定期間内であれば定期予防接種として受けられる制度。
- 申請窓口:住所地の市区町村
ワクチン再接種費用助成制度
造血幹細胞移植などの治療により、それまでに受けたワクチンの抗体が減衰・消失した場合、ワクチン再接種費用を自治体が一部または全額を助成する制度。自治体によって制度の有無、対象者が違うため、主に小児がん患者家族がワクチン再接種助成制度創設に向けて自治体に陳情を行い、制度創設に繋がっている。
- 申請窓口:住所地の市区町村
奨学金
アフラック小児がん経験者・がん遺児奨学金制度
小児がんを経験した子どもや親をがんで亡くした子どものための、返還不要の奨学金制度。高校生を対象とし、他の奨学金制度との併用が可能。アフラックの保険契約の有無にかかわらず応募できる。毎年9~10月頃に募集開始。
- お問い合わせ: 公益財団法人がんの子どもを守る会(のぞみ財団)
「はばたけ!ゴールドリボン奨学金」予約採用型
小児がん経験者で、大学などへ進学を希望されているにもかかわらず、経済的理由により修学困難な方を支援することを目的とした返済不要の給付型奨学金制度。毎年6~9月頃に募集。
- お問い合わせ: 認定NPO法人 ゴールドリボン・ネットワーク
金利優遇
福祉定期
通常の金利に上乗せして定期預金をつくることができる。1人1金融機関、預入期間1年、上限300万円まで。
- 対象者:特別児童扶養手当・児童扶養手当・障害児福祉手当の受給者など
- 窓口:ゆうちょ銀行