小児がんは小児慢性特定疾病に指定され、医療費助成を受けられます。また、年齢や地域によって乳幼児(こども)医療の対象となり、保険診療の自己負担分は全額または一部が助成されるため、経済的負担は少ないだろうと思われるかもしれません。多くの小児がん患者家族を苦しめているのは、主に病児の付き添いによって生じる出費や収入減です。

今回は、「輝く子どもたち」で、主に小児がん患者家族を対象に行った小児病棟のアンケート(有効回答数:218件)をもとに、小児がんの子どもがいる家庭の長期入院に伴う経済的負担についてまとめました。

収入面

時計
小学生以下(特に未就学児以下)の子どもの入院には、24時間または面会時間中に保護者の付き添いを求める病院が多くあります。そのため付き添い者は、時短勤務にしてもらったり、フレックスタイムを利用したり、介護休暇を取ったりして対応しています。退職を余儀なくされる方も少なくありません。

長期入院に伴う出費

長期入院

24時間付き添い

  • 他の入院患者と共有の冷蔵庫しか利用できない病院もあるため、付き添い者の食事は、コンビニ弁当やレトルト食品、子どもの食べ残しになることが多い。
  • 抗がん剤の副作用による嘔吐や下痢などで衣類を汚すため、洗濯回数が増える。病児の分だけでなく付き添い者の衣類も洗濯・乾燥させなければならないため、洗濯物の量が多くなる。
  • 衣類の収納ケース・布団等の購入(無菌室への持ち込みは新品に限る)。
  • 付き添い者は病院内で入浴できない場合、銭湯を利用しなければならない。
  • 折りたたみベッドの購入(幅が狭いタイプを探すのに苦労する)。
  • ベッドの持ち込みができない場合はレンタルもできるが、木製の椅子がベッドになるタイプ・台車に板を付けただけ等の粗悪なベッドだったり、寝具一式のレンタル料が高かったりする。

面会時間に限定された付き添い

入院中のお子さんがいらっしゃる場合、ご家族は、病院敷地内または隣接する場所にあるファミリーハウスを利用できます。話し相手もいて格安で利用できる宿泊施設ですので、精神的・経済的負担が軽減されます。

このように格安で宿泊できる施設がなく、通うのも難しい場合は、ビジネスホテルや病院近くにアパートを借りて生活する方もいらっしゃいます。

交通費

【小児がん拠点病院】小児がん・大人のがん、治療を受けられる病院数を比較

成人のがんの場合、がん診療等を行う病院は全国に436施設あるのに比べ、小児がんの場合は全国に157施設しかありません。このうち、小児がん拠点病院は15施設だけです。

再発や難治性の場合は遠方から転院されることもあり、病院までの交通手段は自動車(有料道路利用)だけでなく、新幹線や飛行機等を利用される方もいらっしゃいます。

小児がんでも、身体障害者手帳や療育手帳を持っていない方は、公共交通機関の割引は対象外となります。また、病児本人が通院する場合の交通費は医療費控除の対象となりますが、付き添いを交代するための交通費は医療費控除の対象外です。

差額ベッド代

病室 差額ベッド代 特別療養環境室

厚生労働省からの通知(保医発0326第5号・平成24年3月26日)「特別の療養環境の提供に係る基準に関する事項」には、大部屋に空きがないなど実質的に患者の選択でないのに個室に入院させた場合、患者本人の治療上の必要により個室へ入院させる場合は、特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならないと記されています。

しかし実際には、上記のような場合でも病院から差額ベッド代を請求されることが多く、基本的に付き添いは不要の小児病棟でも、付き添いを希望する場合は個室の利用が条件となっている病院もあり、差額ベッド代の支払いは大きな負担となっています。

その他

前開き肌着
  • 外泊時にCVカテーテル(抗癌剤を静脈投与するために鎖骨あたりにある血管から心臓近くの太い血管に挿入する管)を管理するための衛生用品(テープ・ガーゼ等)の購入
  • 持続点滴のため、トイレの回数が増える(紙おむつの使用量は通常の倍以上増える)。
  • 前開きの衣類購入(前開きの肌着を販売しているお店を探すのに苦労する。年齢によっては取り扱いがない)。
  • 病室で無料Wi-Fiを使えない場合は、通信費用も膨大になる。
  • 病児のきょうだいの延長保育

まとめ

小児がん経験者たちが安心して社会生活を送るためにはワクチン再接種は必要であり、経済的な理由で接種を受けられないことがないよう、国や自治体からのご支援をお願いしたいです。